つれづれ読書日記

日々の読書感想を、読みっぱなしにしないで忘れないうちにメモしておきたいと思います。

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ピーター・パン

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ジェームズ・バリ/本多顕彰訳(新潮文庫)

 この本には、ディズニーのピーター・パンと違って、海賊やチクタク・ワニは出て来ない。あれは、この本の続編の戯曲『ピーターとウェンディ』をアニメにしたものだ。ディズニーのピーター・パンは本当によくできているアニメで、子どもが夢中になって見るし大人も楽しめる。ストーリーの展開のリズムがよく、思わず笑ってしまう個所が何カ所もある。
 しかし、この地味な『ピーター・パン』の本も、なかなか深いものがあって、「子どもはみんな生まれてくる前には妖精を知っていたし、赤ん坊のときにはまだ覚えていた」が、大人になるにしたがってみんな忘れてしまうというところなど、本当によく分かる。この本を読んだ人は誰でも自分の幼少年時代を思い出して微笑むだろうと思う。
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  1. 2008/03/13(木) 17:07:06|
  2. イギリス文学
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不思議な少年

mysteriousstranger.jpg

マーク・トウェイン/中野好夫訳(岩波文庫)

 マーク・トウェインといえば、「トム・ソーヤーの冒険」「ハックルベリー・フィンの冒険」が名高く読んだ人も多いと思う。この本も、以前ちょっと読んでみようかなと思い「積ん読」しておいたものを何年ぶりかで「たまたま」読んだものであるが、大変面白い小説で、意外ともうけものをしたような気分であった。
 トウェインがこんな小説を書いていたのはまったく知らなかったのであるが、中野好夫氏の解説によると、晩年はかなりペシミスティックな人間観を抱いていたようである。
 3人のこどもたちの前に、あの悪魔の親戚である天使のサタンが現れ、いろいろ面白いものを見せて子どもたちを楽しませ、時空を超えて世界中を案内してくれる。その内容は、人間の愚かさ、残虐性をこれでもかと見せつけるものである。生きるためでなく「ただ残虐性のためだけに他人を殺す生き物は人間だけである」というサタンの言葉は説得力があり反論しようがない。
 中世の魔女刈りや戦争による大虐殺など、サタンの見せつける愚かな事例は、この小説の書かれた19世紀末の時代でも十分に説得的なのであるが、その後の20世紀に人類の経験した第一次、第二次の世界大戦や、ホロコースト、原爆の投下などの事例を見れば、サタンが罵倒してやまない人間の愚かさ醜さの事例は、さらに確実に例証されたと言わざるを得ない。
  1. 2008/03/09(日) 12:39:16|
  2. アメリカ文学
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ジーキル博士とハイド氏

Dr. Jekyll and Mr. Hyde

スティーブンソン/田中西二郎訳(新潮文庫)

 ジーキル博士は、裕福で誰からも敬愛される紳士である。しかし、それは表の顔で自分の中に享楽的で背徳的な面が押さえつけられていることを自覚していた。その自分の内なる邪悪な面を解放する魔法の薬を発見する。そうして生まれたのがハイド氏である。この薬を飲むと、性格や形相だけでなく、からだの大きさや運動能力さえ変わってしまうのだ。博士は自分の享楽的な欲望を押さえつけられなくなり、我慢できなくなるとこの薬を飲み邪悪なハイドに変身し、悪徳の限りを尽くす。
 そして、ついに悲劇がやってくる。ハイドは、温厚で誠実だと世間の人に思われているもとのジーキル博士に戻れなくなるのだ・・・・。

 だれでも人間なら持っている二重性、世間に良い子に思われていたいという仮の自分というものを意識する瞬間があるものだが、この小説はその人間のもつ根源的な二重性を見事に形象化した傑作である。

テーマ:読書 - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/03/08(土) 11:55:10|
  2. イギリス文学
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モリのアサガオ 7巻

moriasa7.jpg
「モリのアサガオ」最終巻。

主人公と同年齢の死刑囚、渡瀬満の秘密が明らかにされる。渡瀬は両親を殺され、自分も傷つけられて野球ができなくなる。10年後に仇討ちを果たしたあと1年の放浪の後に出頭し逮捕される。復讐を果たすときに相手に抱かれていた子どもを偶然殺してしまうのだが、子どもの存在を知っていて殺したと嘘の証言をして死刑の判決を受ける。
なぜ渡瀬は嘘の証言をして死刑を受け入れたのか、その謎がついに明らかにされる。渡瀬は復讐の連鎖を立つため(自分の妹を復讐から守るため)死刑を受け入れたのである。
そして4年後、主人公の手によって、絞首刑が執行されてしまう。

この作品はなんとも不条理で矛盾に満ちた死刑制度の問題点に深く迫った作品である。果たして、国家の名のもとに人間が人間を殺すなどということが許されるのだろうか。しかし、被害者の家族のどうしようもない感情はどうなる。昔あった「仇討ち」を許さないためにも国家による合法的な復讐であり、仇討ちの代行である死刑は必要悪なのであろうか。
たくさんの解決できない問題を提起し考えさせる。

筆者の立場としては、誘導尋問や自白強要などの権力によって作られた冤罪の多さを考え、国家による犯罪を許さないという観点からも、死刑は廃止すべきであると思う。再審制度を充実させたうえで、死刑に代わる究極の極刑としての本当の意味の「無期懲役」の導入がのぞまれる。
モリのアサガオ 7―新人刑務官と或る死刑囚の物語 (7) (アクションコミックス)

テーマ:読書 - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/02/09(土) 13:30:18|
  2. マンガ
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モリのアサガオ 5巻

moriasa5.jpg
 新人刑務官と或る死刑囚の物語、「モリのアサガオ」は5巻にいたって急展開を見せる。
 主人公の直樹は実は死刑囚の子どもであり、すでに執行されてしまった実の父親は冤罪だったことが明らかされる(親友を守るために、罪をかぶって死刑になってしまう)。その事情を知っている検察官の養父によって主人公の直樹は引き取られ、育てられる。そして拘置所の死刑囚舎房に新人刑務官として配置されるという運命の必然が語られる。
 なんという偶然、そして必然の展開なのであろう。主人公は、死刑の現実をみて、「死刑廃止論」と「必要論」の間で揺れ続けるが、読者もまた衝撃的な展開の前に揺さぶられ、安易な結論をためらわせられるのだ。

テーマ:読書 - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/02/05(火) 15:37:03|
  2. マンガ
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