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つれづれ読書日記

日々の読書感想を、読みっぱなしにしないで忘れないうちにメモしておきたいと思います。

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アベ・プレヴォ『マノン・レスコー』(Manon Lescaut)

河盛好蔵訳/岩波文庫

 18世紀のフランスを代表する長編小説。
 17歳の主人公はふとしたきっかけで、修道院に入ろうとするマノンに出会い、駆け落ちする。マノンの主人公への愛はけっして変わらないものでありながら、マノンは豪華な服や装飾品、食事、オペラ鑑賞などがなくては不安で生きていけない人間である。そのため、悪気もなくある金持ちの貴族の妾になる。それは主人公のお金が尽きたせいでもある。
主人公はマノンを妾宅から連れ出し、結果的に二人は詐欺行為をして大金を巻き上げたことになってしまい、牢獄に入れられる。主人公は、親の口利きですぐに釈放される。「悪い女にたぶらかされただけだ」と大人たちは判断するのである。
 彼は監獄からマノンを救い出す。その過程で殺人を犯すが、それもなかったことにしてもみ消されてしまう。主人公の青年は有力者の息子だからである。
 そのような事件が繰り返され、ついにマノンはアメリカ大陸へ流刑になってしまう。主人公はアメリカまでマノンを追っていき、その地で死んだマノンを土に埋める。

 17歳の若さを考えるとこういうこともあるだろうと思える。いや、何歳になっても恋の本質は変わらず、無軌道で見境なくあらゆる困難を乗り越えていくものであるともいえる。社会的にみれば、つまり周囲の分別ある大人たちの目からみれば、悪い女にだまされて夢中になっているだけに見えるかもしれないが、マノンはちっとも悪くないし、主人公への愛も真実のものなのである。騙そうなどとこれっぽっちも思っていない無邪気なものである。ただ、ちょっと贅沢な暮らしをしていないと不安で、お金がなくなることが心配なだけなのだ。
 女性の本質と、究極の愛を描いた傑作小説。
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  1. 2008/01/22(火) 16:50:50|
  2. フランス文学
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コンスタン「アドルフ(Adolphe)」

Adolphe.gif
大塚幸男訳/岩波文庫

 フランス文学の古典で、心理主義小説の先駆けとし知られている。
 主人公は、あるフランスの貴族を紹介され訪問する。そこで貴族に保護された愛人であるポーランドの亡命貴族の女性を恋するようになる。主人公は女性に思いを寄せ、ついにその愛を獲得する。女性は無一文となって亡命していたところをその貴族に助けられ、保護されていたのである。その恩を忘れ、恩人との間にできた子どもまで捨てて、女は若い主人公にすべてを捧げようと決心し、主人公と暮らし始める。
 その頃から、彼にとってその女性がいろいろな意味で重荷になり始める。しかし、彼は別れを言い出すことができない。
 別れることをすすめる父の友人である地元の有力者に当て、彼はその場の言い逃れにすぎない「別れる決心」の手紙を書く。有力者は前途ある若者を救い出すため、よかれと思ってその手紙を彼女に見せてしまう。女性は打撃を受け病気になって死んでしまう。主人公はすべてを捨てて放浪の旅に出る。
 愛の本質を深くえぐって感動的な作品である。愛は失ったときに初めてその深さ、ありがたさを感じることができるという意味で、幸福と似ている。主人公は、職にも就かず仕事もせず、愛人の元でぶらぶらしていたわけであるが、父の友人の地元の有力者が、父の意を受けて主人公を窮地から救い出そうとおせっかいを焼くわけである。「いい若い者が、愛人のくびきの元でなにもせず無為な生活をしているのはよくない」というのである。
 これほど深く強く愛された男というものは、それで本望でそれ以外何も要らないと思わないのだろうか。それでも男は愛が重荷であり、愛から逃れたいと思うことがあるのだ。人間は愚かで迷うものであり、失って初めて誤りに気づくものである。そこにまた愛の本質がある。
    アドルフ (岩波文庫)   アドルフ (新潮文庫)

テーマ:本の紹介 - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/01/20(日) 17:07:19|
  2. フランス文学
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ラディゲ「ドルジェル伯の舞踏会」

dorgel.jpg
ラディゲ/生島遼一訳、新潮文庫

 この本を読み始めて、何か前に読んだような気がして思い当たるものがあった。しかし、同じ著者の小説「肉体の悪魔」(魔に憑かれて)の文章と似たところがあるための錯覚だろうと思った。3頁4頁と読み進めるにしたがって、さすがに前に読んだことがあるのを思い出した。調べてみると、8カ月前に読んでいた。
 読み進めると、今回も心理的表現の面白さに夢中になって感心して読まされた。著者の才能がガラス細工のような表現になって結晶した、すぐれた心理小説だと思う。なぜ自分で読んだことを忘れていたかと思い返すと、「肉体の悪魔」の方が印象が強く、「ドルジェル伯」は読んでいるときには感心して夢中になるが、あとで残るものが弱いということなのだと思う。1年以上前に読んだ「肉体の悪魔」の方が力強い作品で印象が長く残るのである。
 ラディゲが目指した心理小説の傑作『クレーヴの奥方』には及ばないが、著者の年齢を考えれば(20歳で夭折、死後刊行される)だれしも目を見張らざるを得ないものがある。

テーマ:読書 - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/01/17(木) 16:09:50|
  2. フランス文学
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「クレーヴの奥方」

ラファイエット夫人/青柳瑞穂訳、新潮文庫

 フランス心理小説の古典。17世紀に出版された。16世紀から17世紀にかけたフランス・ヨーロッパの宮廷を背景に語られる恋愛小説。美男美女ばかりが出てきて、中でもヒロインは絶世の美女ときているので、おとぎ話めいてくるが、ストーリーは緻密で歴史的背景を厳密におさえている。
 長編だが、一気に面白く読め、少しも無駄がない。自然描写もほとんどなく、宮廷周辺の、だれがだれを好きで、どうなったという恋愛関係、人間関係をめんめんとつづっているだけの小説ともいえるが、それでいてまったく読者を飽きさせない。著者は、自分の興味関心のあることだけを徹底的に磨ききって完成させたような傑作小説である。
 物語の背景を訳者の注釈で読むと、当時のフランスやイギリスの王様は、人の奥さんをとったり、殺したり、閉じこめたりと、悪いことばかりしているがちっとも責任を問われないというすごい世界だったことがわかる。これが史実なのだ。

テーマ:読書 - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/01/16(水) 16:39:28|
  2. フランス文学
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スタンダール「パルムの僧院」

parumu.jpg
スタンダール/大岡昇平訳
 一気呵成に書かれた傑作。19世紀の前半に今日的な意味での小説の原型は完成されていたことがわかる。現代の大衆小説、風俗小説は、筋の変化、題材の目新しさを追いながら、同一の内容を多少のあやをつけながら繰り返しているにすぎない。
 それではもう古い小説は読む必要がないかというとそうでもない。この小説が面白い理由を考えてみると、波瀾万丈の筋はもちろんだが、細部の描写が生き生きとしていることも大きな魅力になっている。スタンダールは自分の大好きなことを、思う存分描いた。スタンダールは、イタリアが大好きだった。恋愛でもイタリア人女性を追い求め、一生涯独身だった。ナポレオンの大ファンであり、若いころナポレオン戦争に参加してイタリアへ遠征した。仕事もイタリアに駐在した領事だった。フランス人でありながら大のイタリアびいきであったのである。
 生涯かけて愛したイタリアを舞台に、渾身の力をこめて自分の大好きなことを小説に書いた。面白くないわけがない。イタリア人がこんなに情熱的で、イタリア女性がかくも美しく献身的であるのを読むと、トリノで行われた冬季オリンピックを見る目も変わってくるというものである。

テーマ:読書 - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/01/14(月) 17:15:00|
  2. フランス文学
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