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つれづれ読書日記

日々の読書感想を、読みっぱなしにしないで忘れないうちにメモしておきたいと思います。

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ピアス「トムは真夜中の庭で』(Tom's Midnight Garden)」

トムは真夜中の庭で
高杉一郎訳・岩波少年文庫

 主人公トムは弟が「はしか(麻疹)」にかかったため、夏休み中親戚の家に預けられる。そして夜中に家の裏にある庭を冒険する。そのいきさつ、一階のホールにあるいわくありげな大時計、庭の描写など、大変詳しく書かれている。ここの部分で、気の短い読者は飽きてしまうかもしれない。今の児童文学では、すぐに面白い話に入っていかないと、読者はついてこないだろう。描写がこまかく論理的で、非常に詳しいのである。こういう息の長い論理的な文章を追っていくのは西欧人は得意なのだろうか。日本的な省略の仕方、花鳥風月的な余白の文章からかけ離れているので、日本人の体質にあわないのかもしれない。
 しかし、我慢して途中まで読んでいくとすべての細部の構成が生きてくるのがわかる。構成上の論理的な必然があり、細部が丹念にリアリズムで描かれたからこそ、後半が盛り上がるのである。ドラゴンやトロールが出てこなくてもファンタジー小説は書ける。細部がリアリズムで固められたファンタジー小説なのである。
 そして、丹念に最後まで読み通したとき、トムが真夜中の庭で会ったハティとは誰であったのかを読者は忽然と理解する。そして歴史の中で生き、死んでいく人間というものの存在と、そのはるかなる思いに読者は共感し感動するのである。
 私はこの本を最後まで読んで、イギリス戦後児童文学の最高傑作といわれている意味をよく理解した。
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テーマ:読書 - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/01/19(土) 12:35:35|
  2. イギリス文学
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  4. | コメント:0
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